人の運命

人の運命なんて、どこでどう狂うのか、全く解らないものよ。
今私は、ただ生きていくためだけに、ソープで働いているの。
ついこの間までは、全くごく普通の主婦だったわ、しかも、新婚のね。
それがなんでって、普通の人は思うわよね。
でも、今の私の境遇は、現実のものよ。
毎日、何人もの知らない男に抱かれることが仕事。
辛くないかって言えば、それは辛いに決まっている。
でも。これが現実なの。
そもそもの発端は、旦那の借金だったわ。
よくある話しのようだけれども、実はレアケースよね。
知らない間に、私は連帯保証人にされていたって言うわけ。
それで、仕方なくソープに・・・・・・。
それも、金融業者の紹介で今の店にはいったのよ。
でも、なんか変でしょう、この経緯って。
疑問を持つと、次から次に疑問が疑問を産むのよね。
でも、疑問は疑問で、私にはそれを解き明かすだけの知恵も経験もないの。
仕方ないから、自分を無にして毎日を過ごしているの。
そんなある日、若いお客様に付いたの。
ちょっと、仕事の話しをしたら、そのお客様は何と弁護士先生だったわ。
その人が「言いづらかったら言わなくてもいいけれど」と前置きをして、何故この仕事をしているのかって訊いてくれたわ。
何となく信用できそうな人だったので、私はありのままを話したの。
「それはちょっと、なんだか臭い話しだね。良かったら僕が相談に乗ろう。着手金千円、成功報酬一万円でどう?勿論だけれ
ど、事務所は通さないけれど。興味があるんだ、ぜひ、僕にやらせてほしい」
こうして、“田島先生”が私を救いだすことを始めてくれたわ。
先生の大学の先輩が、警察庁にキャリアとして入っていて、現在は警視庁刑事部で捜査二課の管理官をしている“警視”なんですって。
それから、私は店の外で田島先生と打ち合わせの度に有ったわ。
そして、半年が過ぎた時に電話があって呼び出されたの。
全てが明るみにでて、私を陥れた人達が全部で7人いて、私のような境遇の女性が21人もいたことが解ったの。
彼らの資産を全て処分して、私は民事訴訟で勝ち取ったお金を手にすることが出来たわ。
そして、今、私は小さな小料理屋をやっているの。
田島先生は開店の時、お花をくださって、一番に駆けつけてくれたの。
私は、自分の過去が恨めしくなったわ。
だって、先生の事を好きになってしまったのだから。
でも、あの過去がなければ、先生とも出会えなかったわけだしね。
いつの日か、先生と結ばれたいって思っているの。
あの時だって、私の話しを訊いただけでHはしなかったんだから。

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